時計修理工房の岸でございます。いつも多くのお問い合わせ、ご来店を頂き誠にありがとうございます。本日はゼンマイが巻けなくなったオメガのお時計をご紹介致します。
今日のお時計【オメガ】
ご購入から約10年、調子良く動いていてたオメガ シーマスター が突然ゼンマイが巻けなくなり、停止してしまったとご相談を頂きました。
メンテナンスを行っていない事から、オーバーホールも合わせて行ってほしい。
この度はお問い合わせ頂き、誠にありがとうございます。お時計内部を拝見し、修理のご提案を差し上げます。
私の所見では、ゼンマイ切れの可能性が高いです。
以前、別のお客様より「ゼンマイのみ交換を行えば直る?」と、ご質問を頂いた事がございます。部分修理を行えば、原因は解決。使用できる状態に戻るのですから。当然皆様もお考えになられるかと存じます。
しかし、ゼンマイを交換するにはオーバーホールと合わせて修理が必要なのです。
私も入社当初、職人さんへ「なぜ、ゼンマイ交換だけ行って頂けないのですか?」と、伺った事がございます。
『ゼンマイ部品は時計の内部にあるから、ムーブメント(時計の動力機構部分)を分解して交換するんだよ。申し訳ないが、一度分解をしてしまうと元通り動かすには本当に大変なんだ。劣化した油がついた歯車を再度組み上げても、お客様の手元ですぐに止まってしまったり、動かない事もあるんだよ。汚れが歯車の間に入ってしまってね。』
「それではお客様にご案内できないですね。どうすれば良いのですか。」
『万全を期す為には、全ての部品を洗浄して組み上げ、精度確認、裏蓋を閉めたら防水検査を行う事だね。」
「分解、洗浄、組み立て、精度調整、防水検査…それってオーバーホールですよね?」
『そうだよ。』
「なるほど…。作業の工程上、オーバーホールが必要という事ですね。
修理したはずの時計がすぐに止まったら、お客様はとても心配をされます。またお預かり頂かないといけませんし、返ってご迷惑をおかけしてしまいますね。」『その通り。費用を抑えて修理をしたい気持ちもわかるけど、申し訳ないがオーバーホールと合わせて修理をお願いしている。ゼンマイだけでなく、内部部品(歯車)も一緒。』
「ありがとうございました。」
以上が、職人さんに伺った時の会話でございます。
職人さんは、オーバーホールの必要性を「作業の工程上」と申しておりますが、お客様にご迷惑をかけたくない、安心して時計を使ってほしいという点を強く感じました。
入社して間もない私には、大変勉強になった会話でございます。
皆様にもご参考になればと、ゼンマイ交換とオーバーホールについてご紹介をさせて頂きました。
「オメガのお時計は、【オメガのための修理工房】のページでも受け付けております。」
より専門性の高い情報を記載しておりますので、是非ご覧ください。
https://watch-repair-omega.com/
今日の業務スケジュール
10:00 – 職人さんより届いた所見をお客様へお伝え致しました。
15:00 – お時計お納め為、発送準備を行いました。
16:00 – 休憩を頂きました。
17:00 – 引き続き、職人さんより届いた所見をお客様へお伝え致しました。
19:00 – 職人さんよりお納め頂いたお時計の最終確認を行いました。
引き継ぎ事項
- お問い合わせフォームよりお申込み頂きましたお客様、メールでご相談を頂きましたお客様へ順次ご連絡を差し上げます。
- お見積りの期限の近いお客様には、順次ご連絡を差し上げます。
日報作成時間
22:30 – 23:00
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