夜分に失礼いたします、椙山でございます。本日も修理の完了や到着に携われなかっただけでなく、ほとんど修理工房の業務に携われませんでしたので、関係のない写真でございます…そろそろシャッターを閉め、実家の今池に帰らねばなりません。

シャッターを下ろすという行為は、時計修理工房で初めて経験いたしました。学生時代のアルバイトは、オフィスビルやマンションの一室で行っておりましたので。あ、和菓子屋でのアルバイト経験もございますが、シャッターを下ろしたり上げたりは、しなかったようなしたような…どちらでしたでしょうか。うろ覚えでございます。

今日(?)のお時計【ペキニエ】

私が時計修理工房に入社した当初は、どのお時計も梱包パックに入って当店に郵送されてくると思っておりましたが、お客様自身で梱包なされて送られてくるお時計も稀にあり、驚嘆しておりました。今思えば、事前にホームページでお困りの症状をご相談頂いていればその段階で修理ができないと判断し、ご購入なされた店舗様やメーカーでの直接のご相談をお勧めしていた症状でございます。ペキニエというあまりお目にかかることのないお時計のベルトが壊れており、一見太めのピンを入れ直せば、元どおりになりそうなものでございました。

この「太め」のピンは大変特殊な直径のもので、ベルトに用いるような小さな部品を作れる職人が、すべての工程を手作業で行えば作成可能とのことでした。しかし、取り付ける部分に穴をあけるなどの加工が必要で、なおかつとても繊細なデザインをしていたため、穴を穿つ衝撃で崩れてしまう可能性があるとのこと…さすがの経験豊富な職人でも、

繊細で緻密な装飾部品を1から作成することはできない

とのことで、お客様にお支払いただく費用とリスクが釣り合わないと判断してお直しはお勧めしないことに。この旨、お電話にてお伝えしましたところ、

心斎橋で買った時のお店はもうなくてね…当時もその時計は珍しくて誰も同じのを持っていなかったの。今の主人にも似合う似合うって褒められて、嬉しくて、どこに行くにも身につけていたわ。たくさん思い出があるから、まだまだ使いたかったけど私も時計ももう寿命かしら

 

…経験の乏しい私は、言葉が詰まってしまいました。冗談めいてお話なさるその言葉のフォローの仕方を存じていなかったこともありますが、加えてお力になれなかった心苦しさと悔しさを強く感じました。

私椙山の一番最初の「修理不可」の連絡でございます。

今日の業務目標

  • 今日中にできることは必ず今日中に終わらせる
    →当然すべきことではございますが、ギリギリ終わらせることができました。

今日の業務スケジュール

10:00 – メールでのご相談にお答えしました
11:00 – ご案内できるお見積もりは全てご案内し、定例会議に向けて資料を作成いたしました。
12:00 – 長らくお返事をいただけていないお客様方3名にお電話をし、つながりませんでしたのでメールをお送りしました。3名様ともお返事をくださり、本当にありがとうございました。
14:00 –  平野さんより、機材の使い方を教えていただきました。
16:00 – 必要な印刷物を作成し、機材を用いて順次加工いたしました。
17:00 – 取引先様へ連絡し、備品の取り寄せを行いました。
18:00 – 担当しているお客様の情報を全て拝見し、連絡必要か否かの確認をした上で、お見積もりの再送や確認事項を再送いたしました。
20:00 – 書類の印刷に追われました。

あすへの引き継ぎ事項

  • 明日は終日、修理工房の業務に携われません!

日報作成時間

21:30 – 21:50

 

日本全国から時計修理を承っております。
よろしければこちらの「時計修理について」もあわせてご覧ください。



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この日報は、 椙山【時計修理工房】が執筆しました。

小さい頃から音楽や美術が好きで、それが高じ、大学はデザイン学部に入学。色彩感覚を養ったり、美術史や画像の加工方法を授業で学び、作曲や音響学を専攻する研究室で「図形楽譜」について造詣を深め、「DTM(作曲をおこなうソフトウエア全般)のグラフィカルユーザインターフェース」と「図形楽譜」は、どこでどう関連できるのか、今後どう関連していくか…等について研究しておりました。この大学卒業までの24年間、自分の好きなことにかまけてしまい、他人を思いやる気持ちや信頼を築く大切さを理解できませんでした。時計修理工房で、自分に欠けていたそれらを養わんとばかりに、日々研鑽しております。よろしくお願いします。

椙山【時計修理工房】が綴った日報の一覧はこちら。

私たち時計修理工房は、
1日あたり20本以上の時計をお預かりしております。

とりあえず相談はこちらから。どのお客様にも、お時計を拝見してからお見積もりをご提供。お見積もりのあと、92%のお客様からご依頼を頂いております。

▲もし、私たち時計修理工房がお客様のお役に立てるようでしたら、お気軽にご相談ください。ロレックス、オメガをはじめ、無名のブランドの腕時計もできる限りサポートさせていただきます。いつかお客様のお時計を、この「時計修理工房の日々」でご紹介できることを楽しみにして、お問い合わせをお待ちしております。



1 Comment

沼部信広

初めまして、ペキニエの日本正規輸入総代理店『カリブルヴァンテアン株式会社』代表の沼部と申します。
ペキニエの修理も受け付けられてるようでありがとうござます。
今件のお客様のように、独特な世界観のあるペキニエゆえに長くご愛用されてる方が多く大変ありがたく思っております。
時計の正規パーツは年代物だと確かに入手不可能なこともあります。
ところでこの修理に関しては、当社にご連絡を頂けましたでしょうか?
弊社にて対応出来なかったことなのかもしれませんが、状況をお聞かせいただければ今後の対応にも訳立つかもしれません。
よろしくお願い申し上げます。

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株式会社修理工房が、この「時計修理の日々」のブログに取り組み始めたとき、在籍していたスタッフはみな半信半疑でございました。修理の記録、日々の出来事を読んでくださるお客様が、果たしてどれくらいいらっしゃるか。まったく想像がつきませんでしたし、事実、最初の頃は日に数人しかアクセスがなかったのです。それでも続けた結果、劇的な成果を得ております。

いま、この「時計修理の日々」は、月に3万ものアクセスを獲得しております。日に直すと1000件近くございまして、圧倒的な数字でございます。これは株式会社修理工房が持っているウェブサイトの中でも、だんとつに多く、そして比例して問い合わせの件数も多いものであります。継続は力なり、と言われていた通りの成果にございました。

私たち株式会社修理工房は、お客様のお時計の修理、オーバーホールを担います。ブランドはロレックスやオメガなどの王道から、知る人ぞ知るマニアックなブランド、廉価な国産品も対応させていただいております。メーカーで断られてしまったお時計でも、弊社であれば直せる可能性がありますので、(あまり期待はせずに)お問い合わせをお寄せください。

私たちは、お客様のお時計を直すことによって、心にできた傷や綻びをなんとかしたいと考えております。時計は心にあると思う次第です。したがって、私たちは機械を直すのではなく、ひとの心に触れる仕事をしているのだという自負をしております。なるべくお役に立てるように努めて参ります。今後ともどうか、引き続きご愛顧をくださいませ。

2021年6月17日(木)
株式会社修理工房
社員一同