「平野さんは、いらっしゃいますか?」
新規のお客様のご指名に、驚きつつも嬉しく思い、
W様からROLEXをお預かりしたのは2ヶ月前のことでした。
どうやら、私の知人から紹介いただいたのこと。もちろん「時計修理工房」へのご依頼ではあるものの、いちスタッフである私を名指しで、直接窓口までご足労いただけたことに感動し、「是非ともお役に立ちたい」と意気込んだことを今でも鮮明に思い出せます。
お見積りまでに少々お時間を頂いてしまったものの、修理後の仕上がりには大変ご満足いただき、納品時にすぐさまその場で時計をお付けして笑顔でお帰りになられました。
納品の際、「もし分かればこの時計が作られた年代を教えて欲しい」とご要望を頂いており、修理を担当した職人に尋ねたところ、
「この年代のDAYTONAは大変珍しく、私も本でしか見たことがなかった。よく覚えてるよ。ムーブメントも今では生産されていない逸品で、自分の手でこんな貴重な時計をオーバーホールさせてもらえたのは、ちょっと緊張したけど、すごく嬉しかったね。」と、職人からも感謝の言葉をいただき、仲介した私まで、なんだか嬉しくなりました。
さっそく本日お客様にお電話をし、「具体的な年代は分からないのですが、ムーブメントの製造は1970年から1985年までのものであり、大変貴重なお時計だそうです。職人も生きているうちにお目にかかれて嬉しいと仰ってました。」と、伝え聞いた言葉をありのままご報告させていただいたところ、
「そんなに貴重な時計とは知らなかった。友人からのいただきもので大切にしてた時計なんだけど、それを聞いてさらに愛着が湧いたよ。ありがとう。」と、喜びと感謝のお声を驚きながらもご丁寧にいただきました。
時計のオーナーでもなく、時計の修理が出来るわけでもない私がお客様と職人の仲介役、大げさに言えば「架け橋」のような存在になれたんだなと、自然と笑みがこみ上げてくるほどに嬉しく思えた「本日の1本」でございます。
お時計修理のご用命、誠にありがとうございます。
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