終業後に一息つき、先ほど扉を開けたところ、目線の少し高いところには朧月(おぼろづき)が淡く輝いておりました。思えば、遠い昔の人々はこのように月や太陽を見上げ、季節の移り変わりを感じていたのでしょうね。忙しない気持ちをなだめてくれるようでございました。
「時間」の概念は人を便利にもしましたが、ときに気持ちを追い立てることもございます。たまには目線を少し上に向け、日に日に冷たくなる空気を感じながら、心を緩めることも大切ですね。やるべきタスクなどの管理は、明日からもご愛用のお時計が役に立ってくれることでしょう。
時計修理工房の石川から、本日の時計修理業務をご報告するとともに、職人さんより教わったお時計の部品についてご紹介致します。

今日のお写真【キチ車・丸穴車・角穴車】

まるで3兄弟のような歯車は、お写真左から「キチ車」、「丸穴車」、「角穴車」といいます。
修理を完了したお客様のお時計に、交換された部品として添付されていたのですが、一体何の役割を果たすのかと気になった次第でございます。

「手巻き時にリューズが空回りしてしまう。」

お客様からのご相談はリューズ操作についてでございましたが、内部を拝見してみますと、悪くなってしまっているのは3つの歯車でございました。
手でリューズを回すことで、内部とリューズを繋ぐ巻真が回転し、そこから小さな歯車たちが互いに噛み合い動力を伝え、ゼンマイを巻きます。巻真は鼓(ツヅミ)車へ、そしてその先にはこの3つの歯車がキチ車→丸穴車→角穴車の順にゼンマイの収まっている香箱の中心・香箱車へ力を伝えるのです。ゼンマイを巻くまでの巧妙な橋渡しを行う3兄弟。どれか一つが欠けたり、摩耗してしまうことで、このたびお困りの症状のようなリューズの空回りを起こしてしまうのでございました。
キチ車は漢字で「吉車」とも書くようです。小粒ながらも大役を果たす、少々縁起の良さそうなネーミングでございますね。丸穴車は、角穴車と対になったような名前をしております。角穴車は香箱の芯を中央に通すため、小判のような四角い穴が空いております。大きさも役割も異なる歯車たちですが、それぞれが重要な役割を担います。人間の臓器にも通ずるようで、お時計の仕組みに少し親近感を覚えたのでございました。

今日の業務目標

  • 社内ミーティングのため、18時までに本日行うべき業務を完遂させます。→目標の8割程度は完了致しました。いくつかお客様にご連絡が出来ていない件がございましたので、明日行います。

今日の業務スケジュール

10:00 – 職人W様を訪問しました。修理をお願いするお時計をお渡しし、修理を終えたお時計を受け取ってまいりました。
11:00 – 職人W様から受け取った完了品のお時計を早速拝見し、最終点検を行いました。また、修理が出来かねる結果となってしまったお時計のご返却準備を行いました。
13:30 – 休憩を取りました。
14:30 – ご郵送するお時計の梱包準備を行いました。
15:00 – ATMまで足を運び、通帳記帳等行いました。また、帰社後にネットバンキングを操作し支払い予約などを済ませました。
18:00 – 社内ミーティングに参加致しました。

日報作成時間

21:00 – 22:00

 

日本全国から時計修理を承っております。
よろしければこちらの「時計修理について」もあわせてご覧ください。



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この日報は、 石川【時計修理工房】が執筆しました。

静岡県出身、現在は愛猫2匹と名古屋市に在住。これまでアパレル・販売業に従事しておりました。 時計修理工房の中では新参者ですので、日々たくさんのお時計に触れることが勉強です。特に、お客様や職人さんと世間話やお時計にまつわるお話しをすることが好きです。お電話でのご連絡や、名古屋市西区那古野のサービス窓口にて、お客様にお目にかかる時にはどうぞよろしくお願いいたします。

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私たちは、お客様のお時計を直すことによって、心にできた傷や綻びをなんとかしたいと考えております。時計は心にあると思う次第です。したがって、私たちは機械を直すのではなく、ひとの心に触れる仕事をしているのだという自負をしております。なるべくお役に立てるように努めて参ります。今後ともどうか、引き続きご愛顧をくださいませ。

2021年6月17日(木)
株式会社修理工房
社員一同