時計修理工房の平野でございます。本日は日頃からお世話になっている職人の元へお伺いし、貴重なお話を聞かせていただきました。ひとつひとつ手にとって、修理の方法だけでなく、時計の歴史や思い出を目を輝かせて語る職人に、改めて、重みのある安心感や、温かみのある尊敬の念を抱きました。
今日のお時計【シチズン】
「懐かしいなあ」
いつものようにお時計をお渡しし、お話を伺っている最中、目を細めて、ふと、職人がつぶやきました。
好奇心を抑えきれず、どういったお時計なのでしょうかと、状態の確認を終え、一息ついた職人に訪ねてみると、
「平野くん、これね、国鉄のお時計なんだよ。駅員さんがお仕事で使っていたやつね。見てごらん、この当時の時計には珍しく、リューズを引いたら秒針が止まるんだよ。ほら。」
40年ほど前のこと、今では大学や映画館にて賑わう名古屋駅裏の笹島には、国鉄の貨物駅があり、そこには「国鉄専属の時計職人」がいらしたそうです。
「そこの職人さんとは今でもお付き合いがあってね。国鉄があったころには、部品の納品や修理の相談でよく足を運んでたんだよ。支給された時には見た目も中身もおんなじ時計が、修理をする頃にはクセもキズも故障箇所もそれぞれ違って、面白いんだよな。」
と、嬉しそうにお時計の思い出と歴史を語る職人の顔には、今でも泣き出しそうな曇天とはうってかわって、清々しい笑顔が広がっておりました。
時代の流れと共に、国鉄からJRへ。機械式時計からクオーツへ。今では当然のことのように思ってしまいがちな様々なモノやコトの裏側には、こんな背景が広がっている。日頃お預かりしているお時計ひとつひとつがお客様との思い出や歴史があり、だからこそ「修理して愛用し続けたい」と感じるんだな。
と、改めて心を打たれ、よりいっそう「時計」が好きになりました。
お時計修理のご依頼の際、もしお時間がよろしければ、是非、そのお時計の思い出も一緒にお聞かせくださいませ。
その時計の歴史を踏まえ、お客様によりいっそうお喜び、ご満足頂けるような「修理」をご提案差し上げることを、ここにお約束いたします。
今日の業務目標
- 職人に日頃の感謝、尊敬の気持ちを伝え、気持よく修理を承っていただく。
今日の業務スケジュール
10:00 – 職人(W様)の工房への訪問
12:00 – ご納品いただいたお時計の点検作業
14:00 – 休憩
15:00 – 職人(N様)の工房への訪問
16:00 – 通帳記帳、ご入金確認作業
17:00 – ご納品いただいたお時計の点検作業
18:00 – 消耗品の発注
19:00 – お客様への修理完了報告
日報作成時間
19:00 – 19:30
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